■ 1冊の本
1997年夏、書店で私の心を震わせるタイトルの本に出会いました。「前例がない。だからやる」私は直ぐに購入しました。
著者は、当時のアサヒビール会長、樋口廣太郎様でした。業績不振のアサヒビールを業界一位になるまでを書かれた内容に28歳の私は感動し、ビルや店舗のクリーニングからハウスクリーニング一本にシフトしようと思っていた私に勇気を頂いた気が致しました。私はその本を手に大阪から東京のアサヒビール様へ飛び込み樋口会長様にお会いしたい旨を伝えに行きました。突然の訪問者にも関わらず秘書の方がご対応下さりました。もちろんアポイントなしでは樋口会長様にはお会いする事が出来ません。しかし、何とかしてお会いして直接お話しを聞かせて頂きたいと思っておりました私は、秘書の方に「手紙を書けば読んで下さりますか」と質問しましたところ、「私が責任をもって樋口会長のデスクにお届けします。」とお応え下さりました。大阪に戻り直ぐに樋口会長様へ手紙を書き投函しました。数日後、先日ご対応下さった秘書の方から「ただ今、和田様からの手紙を樋口会長のデスクに届けました」とご連絡を頂きました。
■ 1本の電話
1998年1月、アサヒビール秘書室長様より弊社にお電話を頂戴しました。「お正月休みに樋口が和田様のお手紙を読みお会いしたいと申しております。」と仰られました。
2月6日に念願の樋口様にお会い出来ることが決まり、約束の時間の一時間前にはアサヒビール様の前に到着しました。そして約束の時間になりアサヒビール様のご指定下さったフロアへ行き、応接室に入れて頂きました。私は樋口様が入って来られたら直ぐに名刺を渡そうと名刺入れを手に持ち待っておりましたところ、樋口様は既に両手で名刺をお持ちになり応接室に入って来られました。
「樋口でございます。」
そこから夢のような時間、私が今も尚事業を続けられる原動力を頂いた時間が始まりました。
樋口様は私に会社概要を見せて欲しいと仰られました。私も他社様に頂いた会社概要を参考に自社の会社概要を作成しておりましたので何の迷いもなくご覧頂きました。
「和田君は商売を甘く見ているのか?お客様を何だと思っているのか」とのお言葉を頂戴したのです。私には何の事なのか全く解らず樋口様にどの部分が悪いのか質問しました。
樋口様は弊社の「主な取引先」という部分とその下に記載している○○株式会社等の一覧をご覧になり
「なぜ主なお得意先様と書けないのか、なぜ○○株式会社様と書けないのか。お客様を呼び捨てにしているようでは商売は上手く行かないよ。もっとお客様を大切に考えなさい」と仰られました。私は強い衝撃を受けると同時に心から嬉しく思えました。仰られる通りだと思えました。そこから約一時間、樋口様は私に沢山のご質問をして下さり、耳を傾けて下さりました。私は28歳、樋口様は当時73歳だったと記憶しています。この年齢差を樋口様は感じさせない御配慮で若輩者の話を真剣にお聞き下さり、ご意見を下さりました。帰り際、樋口様は「一年後に又会おう」と言って下さりエレベータのドアが閉まるまで頭を下げて下さりました。
■ 1年の月日
1999年3月、再び樋口様にお会い出来る機会を与えて頂きました。私はこの時期よりハウスクリーニングだけに特化した会社になりたいと考えており、当時の社名であった「清友舎」という社名ではハウスクリーニングに相応しくないと思っておりましたので樋口様に社名を付けて頂きたいとお願いしました。「お客様、スタッフ、社会、皆様に喜んで頂ける会社を目指しなさい。」そしてウィズアップという名を命名下さりました。54歳になった今、樋口様との出会いのお陰で私は今も大好きなお仕事をさせて頂け、お客様に喜んで頂けるサービスを追求し続けられていると心より感謝しております。今後も「ウィズアップ」の名を汚さぬ様、常に精進を重ねて参ります。私が初めてアサヒビール様へお伺いしました時にご対応下さった秘書様にも心より感謝致します。
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